2025/09/07
建設業界で毎年行われる「安全大会」。
これは法律による義務ではありませんが、行政や業界団体の公式指導やキャンペーンを通じて推奨され、慣行として定着してきた文化です。
この記事では信頼性の高い一次情報(厚生労働省・建災防・中災防)をもとに、その歴史と背景を分かりやすく整理しました。
安全大会とは?
安全大会とは、元請企業が現場の関係者(協力会社、作業員など)を集めて、安全意識の向上や災害防止を目的に開催する集会です。
法律上の義務ではないものの、労働災害の多い建設現場において、安全教育や情報共有の重要な場として長く続いてきました。
安全大会の歴史・定着の流れ
以下の年表には、公式情報を中心に、業界文化としての安全大会がどのように広まり定着してきたかをまとめています。
年代別の歩み(年表)
年代 | 出来事・背景 |
---|---|
1964年 | 「労働災害防止団体等に関する法律」に基づき、建災防(建設業労働災害防止協会)が設立。 ※1 |
1965年 | 第1回「全国建設業労働災害防止大会」が東京で開催。安全大会文化の全国的な出発点。 ※1 |
1960年代 後半~ | 建災防全国大会を契機に、地方支部や企業単位で自主的に安全大会が開催され始める。 ※2 |
1995年 | 厚生労働省が「元方事業者による建設現場安全管理指針」を公布。 「元方事業者が主催する安全大会等への参加」が防災対策例として明記される。 ※3 |
現在 | 厚生労働省・中災防の「全国安全週間」にあわせ、各社が自主的に安全大会を開催するのが慣行化。 ※4 |
出典一覧
- 建災防「60年のあゆみ」
- 業界紙・建設業団体の記録(建設通信新聞など)
- 厚生労働省「元方事業者による建設現場安全管理指針」(PDF)
- 中災防「全国安全週間」
- 安全大会は法律で義務づけられていないが、公式指針や全国施策を通じて行政面から推奨されてきた。
- 出発点は1965年の「全国建設業労働災害防止大会」。
- 1995年の厚労省指針で制度的推奨が明記されたことにより、より定着が進んだ。
- 現在では、「全国安全週間」との連携によって、安全大会は業界慣行として定着している。
このように、安全大会は儀礼的なイベントではなく、行政と業界団体の推奨によって根付いた、安全活動の柱として位置づけられています。
現場の安全確保や災害ゼロに向けた意識醸成において、今後も重要な存在であり続けるでしょう。