2025/10/20
今回は、事故が複数起きた際の事故発生原因の考え方についてお伝えします。
安全大会の挨拶や現場での実践にもご利用いただけるのではないかと思います。
事故が複数起きる原因には共通原因型と連鎖型の2つがあると捉えます。
| タイプ | 原因の関係 | 具体例 | 事故発生までの流れ(要約) |
|---|---|---|---|
| 共通原因型 | 一つの原因で複数の事故が発生 | 大雨で足場が滑り転落事故+視界不良で接触事故 | 大雨 → 足場が濡れる/視界が悪くなる → 転落・接触事故が同時期に発生 |
| 連鎖型 | 一つの事故が別の事故を誘発 | 吊り荷落下 → 回避行動中に転落事故 | 玉掛け不十分 → 吊り荷落下 → 作業員が避ける → バランスを崩して転落事故発生 |
1,共通原因型
一つの共通した原因が、複数の事故が同じ時期に起きるケース。
例:大雨が原因で、転落事故と接触事故が同時期に発生
事故発生までの経路:
- 大雨が降る(共通の原因)
- 足場や仮設通路の表面が濡れて滑りやすくなる
- 作業員が足を滑らせ、転落事故が発生
- 同時に、大雨で視界が悪化・路面が滑りやすくなる
- 資材搬入中のトラックが停止しきれず、接触事故が発生
👉 一つの原因(大雨)が、異なる経路で2つの事故を引き起こしたケース。
2,連鎖型
最初の事故がきっかけとなって、次の事故を引き起こすケース。
例:吊り荷の落下事故が、転落事故を誘発
事故発生までの経路:
- クレーンで吊り荷を移動中、玉掛けが不十分だった
- 吊り荷が落下し、下で作業していた作業員が回避行動を取る
- とっさに避けようとして足場からバランスを崩す
- 作業員が転落し、二次的な事故が発生
👉 最初の事故(吊り荷落下)がきっかけで、次の事故(転落)*を誘発したケース。
どちらも、「複合事象」を理解するうえで重要なのは、「原因 → 状況の変化 → 作業者の行動 → 結果(事故)」という流れを追って考えることです。体感的にはお分かりのことだと思いますが、こうやって整理することで、理路整然と原因の特定ができるのではないかなと思います。