2025/11/21
簡単に言うと
1件の重大事故の背後には、29件の軽微な事故と300件のヒヤリハットが存在するという経験則。「1:29:300の法則」とも呼ばれ、労働災害防止の基本原則として広く知られている。
解説
ハインリッヒの法則は、1931年にアメリカの損害保険会社で働いていたハーバート・ウィリアム・ハインリッヒが、労働災害の統計分析から導き出した経験則である。
ハインリッヒは約5,000件の労働災害を分析し、重大事故と軽微な事故、そして事故には至らなかったニアミス(ヒヤリハット)の間に「1:29:300」という比率があることを発見した。
この法則が示す本質的なメッセージは、重大事故は突然起きるのではなく、その予兆となる小さな異常が必ず先に現れているということである。言い換えれば、300件のヒヤリハットの段階で対策を講じれば、重大事故は防げる可能性が高い。
建設業界では、この法則は安全教育の基礎として広く浸透しており、ヒヤリハット報告制度の理論的根拠となっている。後にフランク・バードがこの法則をさらに発展させ、バードの法則として提唱した。
挨拶での活用アプローチ
「見えない300」に目を向けさせる
安全大会の挨拶では、参加者の多くがこの法則の名前は知っている。しかし「知っている」と「意識している」は違う。挨拶では、この法則を単に紹介するのではなく、「今日ここにいる皆さんの現場で、昨日までに何件のヒヤリハットがあっただろうか」と問いかける形で使うと効果的である。
数字の「重み」を実感させる
「1:29:300」という数字を、自社や協力会の年間作業員数に置き換えて語ると、抽象的な法則が身近な現実として伝わる。また、ヒヤリハットを報告することへの心理的ハードルに触れ、「報告してくれることが、重大事故を防ぐ最大の貢献」というメッセージにつなげることもできる。