2025/11/21
簡単に言うと
事故は単一の原因ではなく、複数の防護層(チーズのスライス)に空いた穴が偶然一直線に並んだときに発生するという考え方。イギリスの心理学者ジェームズ・リーズンが提唱した事故発生モデル。
解説
スイスチーズモデルは、1990年代にジェームズ・リーズンが提唱した事故発生のメカニズムを説明するモデルである。
このモデルでは、組織の安全対策を穴の空いたスイスチーズのスライスに例える。各スライスは防護層(安全対策)を表し、穴は各層の欠陥や弱点を表す。通常、一つの層に穴があっても、別の層がその危険を防いでくれる。しかし、すべての層の穴が偶然一直線に並んだとき、危険が防護層を通り抜けて事故が発生する。
このモデルが示す重要な教訓は以下のとおりである。
- 事故は複合的な原因で起きる:単一のミスだけでは事故にならないことが多い
- 防護層は完璧ではない:どの対策にも「穴」がある
- 多重防護が重要:複数の安全対策を重ねることで事故リスクを低減できる
建設現場では、作業手順、保護具、安全設備、教育訓練、管理体制など、さまざまな防護層が設けられている。スイスチーズモデルは、これらの層を一つでも省略したり、形骸化させたりすることの危険性を示している。
挨拶での活用アプローチ
「偶然の重なり」を防ぐ意識を促す
挨拶では「事故は、いくつもの『まあいいか』が重なったときに起きる」という形で、このモデルの本質を平易に伝えることができる。一つひとつの安全対策を確実に実行することの重要性を訴えるのに効果的である。
「自分が最後の砦」という意識
「他の誰かがチェックしてくれる」という油断が、穴を広げる。挨拶では「自分の担当する層の穴を塞ぐのは自分だけ」という当事者意識を促すメッセージを伝えることができる。
「穴を小さくする」という現実的な視点
穴が一直線に並ぶのを防ぐには、各層の連動性を把握する必要があり、これは難しい。しかし、各層の穴を「少なく・小さく」することは、現場で地道に取り組める。挨拶では「穴がいつ並ぶかは予測できない。だからこそ、自分の担当する層の穴を、日々小さくしておくことが大切」というメッセージを伝えることで、具体的な行動を促すことができる。
→ スイスチーズモデルの「穴の一致」は偶然か必然か。現場で使える安全対策の考え方