2025/11/21
以下の内容をアップしました。
ここでは、「ご安全に」の挨拶への盛り込み方を少し異なる角度から考えてみたいと思います。
「願う」立場と「実現する」立場の違い
「ご安全に」は、相手の安全を願う言葉である。作業員同士が交わすなら、それは互いの無事を祈り合う美しい挨拶だ。
しかし、安全大会で挨拶をしているのは誰か。会社の代表者であり、現場の管理者である。つまり、現場の安全に対して責任を負っている立場の人間である。
責任を負う者が「ご安全に」と言うとき、その言葉の意味は変わる。作業員同士の「願い合い」とは違う。安全を実現する手段を持っている者が、「安全でありますように」と願っている。それは、自分の責任を棚に上げて、相手に安全を委ねているようにも聞こえないだろうか。
「ご安全に」と言う前に、自分に問う
代表者・管理者が「ご安全に」と口にする前に、自分自身に問うべきことがある。
「私は、皆さんの安全のために何をしたか」
安全な足場を用意したか。必要な保護具を支給したか。無理のない工程を組んだか。危険を伝える教育を行ったか。声を上げやすい雰囲気を作ったか。
そして、「これから何をするか」。
まだ足りていないことは何か。改善すべき点はどこか。作業員が安全に働くために、自分は次に何をするのか。
この問いに正面から向き合った上で「ご安全に」と言うなら、その言葉には責任が伴う。問いを避けたまま「ご安全に」と言うなら、それは形だけの挨拶になりかねない。
願いを約束に変える
「ご安全に」を、願いではなく約束として語る方法がある。
「皆さんの安全を願っています」で終わるのではなく、「皆さんが安全に働ける環境を整えることが、私の責任です」と言い切る。願いの前に、責任を語る。そうすることで、「ご安全に」は祈りの言葉から、コミットメントへと変わる。
たとえば、こう語ることができる。
「『ご安全に』と言う前に、私自身に問いかけました。皆さんの安全のために、私は何をしてきたか。まだ足りないことは何か。正直に言えば、十分ではない部分もあります。それでも、できる限りのことをやる。皆さんが無事に家に帰れるように、私の立場でできることをやり続ける。それが私の責任です」
このように、自分への問いを開示し、責任を言葉にする。その上で「ご安全に」と締めくくれば、聴衆には本気が伝わる。
語る際のポイント
- 「ご安全に」と言う前に、自分自身への問いを立てる
- 願いで終わらず、責任として語る
- 「何をしたか」「何をするか」を具体的に言葉にする
- 完璧でなくても、向き合っている姿勢を見せる
「ご安全に」は美しい言葉である。だからこそ、形だけで使うのはもったいない。代表者・管理者がこの言葉を口にするとき、その前に自分への問いがあるかどうか。それが、挨拶を形式にするか、本気にするかの分かれ目である。