2025/11/21
KY活動(危険予知活動)は、建設現場で毎日行われている安全活動の代表格である。作業前に危険を洗い出し、対策を決めてから作業に入る。そのプロセスは、多くの作業員にとって日常の一部となっている。
しかし、日常の一部であるがゆえに、形骸化しやすいという課題もある。安全大会の挨拶でKY活動を取り上げる際は、この「当たり前」を問い直す視点が効果的である。
「形だけのKY」に警鐘を鳴らす
KY活動の最大の敵は、マンネリ化である。毎日同じ現場で同じ作業をしていると、「いつもと同じ」という感覚が生まれ、危険予知が形式的になりがちだ。
挨拶では、この形骸化への警鐘を鳴らすことができる。ただし、「KYをちゃんとやれ」という説教調では聴衆の心に届かない。問いかけの形にすると効果的である。
「今朝のKYで、皆さんは何か新しい危険に気づきましたか?」
この一言で、聴衆は自分の今朝のKYを振り返ることになる。もし何も思い出せなければ、それは形だけのKYだったのかもしれないと気づく。説教よりも、自己認識を促す問いかけのほうが、行動変容につながりやすい。
「K」と「Y」の意味を深掘りする
KY活動の「K」は危険、「Y」は予知である。この言葉の意味を改めて深掘りすることで、KY活動の本質を伝えることができる。
特に「予知」という言葉には注目すべき深さがある。予知とは、まだ起きていないことを想像する力だ。見えている危険を確認するのは「認知」であり、見えていない危険を想像するのが「予知」である。
挨拶では、「KYの『Y』は予知です。予知とは、見えないものを見る力。今日の作業で、見えていない危険は何か。それを想像できるかどうかが、事故を防げるかどうかを分けます」という語り方ができる。
言葉の意味を深掘りするアプローチは、聴衆に「そういえばそうだ」という気づきを与え、日常的に使っている言葉を新鮮な視点で見直させる効果がある。
「今日の危険」は「昨日の危険」と同じか
KY活動が形骸化する原因の一つは、「昨日と同じ作業だから、危険も同じ」という思い込みである。
しかし、現場は日々変化している。昨日はなかった資材が置かれているかもしれない。天候が変わっているかもしれない。自分自身の体調が違うかもしれない。作業する人の組み合わせが違うかもしれない。
挨拶では、「今日の現場は、昨日の現場とは違います。同じ場所でも、同じ作業でも、今日だけの危険が必ずある。それを見つけるのがKYです」と伝えることで、毎日のKYに新鮮な目で取り組む意識を促すことができる。
語る際のポイント
KY活動を挨拶に盛り込む際は、以下の点を意識すると効果的である。
- 「ちゃんとやれ」という説教調を避け、問いかけの形にする
- 「K」「Y」という言葉の意味を深掘りし、新しい気づきを与える
- 現場は日々変化しているという視点を伝える
- 形骸化を責めるのではなく、本来の価値を思い出させる
KY活動は、あまりにも日常的であるがゆえに、その価値が見えにくくなっている。安全大会の挨拶は、その価値を改めて伝え、明日からのKYに新たな意識を吹き込む機会となる。