安全大会の挨拶とヘルメット

協力会会長、元請け社長の立場での安全大会の挨拶のお役立ち情報をお伝えしています。

事故を安全衛生責任者の責任「だけ」にするのは・・・

time 2026/01/25

安全衛生責任者は、元請けと下請けをつなぐ「結節点」として、現場の安全管理において重要な役割を担っている。

統括安全衛生責任者との連絡調整、自社作業員への指示・教育、他社との作業調整。法令上も実務上も、この役職がなければ現場の安全管理は成り立たない。

一方で、私は安全大会の挨拶原稿を作成する仕事を通じて、多くの協力会会長と話をする中で、ある疑問を抱くようになった。

「安全衛生責任者が優秀だったから事故が減った」という話を、ほとんど聞いたことがない。

「結節点」としての役割は確かに重要だが

安全衛生責任者の主な職務は、次のとおりである。

  • 統括安全衛生責任者との連絡調整
  • 連絡事項の関係者への伝達
  • 自社作業に関する安全管理
  • 混在作業に伴う危険の確認

いずれも欠かすことのできない職務だ。情報が途切れるところに事故が起きる、という観点から見れば、この「結節点」が適切に機能することは、安全管理の土台である。

しかし現実には、安全衛生責任者の力量と事故の増減が、明確に連動しているようには見えない。

優秀な安全衛生責任者が配置されている現場でも事故は起きるし、担当者が交代しても事故の発生傾向が大きく変わらないケースも少なくない。

なぜ力量が事故減に直結しないのか

その理由は、安全衛生責任者の能力不足ではなく、役割の性質そのものにある。

第一に、安全衛生責任者の影響範囲には限界がある

安全衛生責任者が担うのは、主に情報の伝達と調整である。一方、事故の直接原因は、個々の作業員の行動、設備の状態、作業環境など、本人の直接的なコントロールが及ばない領域にあることが多い。

正確に情報を伝えたとしても、その内容が現場の行動に反映されなければ、事故は防げない。

第二に、事故の原因は複合的である

スイスチーズモデルが示すとおり、事故は単一の要因ではなく、複数の要因が重なって発生する。安全衛生責任者の力量は、そのうちの一要素にすぎない。

第三に、構造的な問題は個人の努力では解決できない

過密な工期、人手不足、老朽化した設備。こうした構造的な問題は、安全衛生責任者がどれほど優秀であっても、単独で解決することはできない。

むしろ構造に無理がある現場では、安全衛生責任者に過度な負担が集中し、本来の役割を十分に果たせなくなることすらある。

「安全衛生責任者任せ」の危うさ

ここで強調しておきたいのは、安全衛生責任者の役割を軽視しているわけではない、という点だ。この職務は不可欠であり、現場の安全管理において重要な存在であることは間違いない。

問題は、安全衛生責任者「だけ」に事故防止を期待してしまうことにある。

事故が起きたとき、「安全衛生責任者は何をしていたのか」と個人に責任を帰するのは簡単だ。しかし、本当に問うべきなのは、個人の力量では解決できない構造的な問題ではないだろうか。

構造的な視点で安全を考える

事故を減らすためには、安全衛生責任者の力量向上と同時に、あるいはそれ以上に、構造的な取り組みが欠かせない。安全は特定の誰かの仕事ではない。現場に携わる全員が、自分と仲間の安全を守る主体であるという意識を持つ必要がある。

また、注意力に頼らなくても安全が確保できる業務フローになっているかを見直すことも重要だ。無理な工期や人員不足、劣化した設備は、事故の温床となる。これらは経営判断の問題であり、安全対策として正面から取り組まなければならない。個人の伝達力に依存せず、情報が確実に共有される仕組みを整えることも欠かせない。

安全衛生責任者の本当の役割

こうして見ると、安全衛生責任者の本当の役割が見えてくる。

それは、「自分一人で事故を防ぐ人」ではない。

現場の構造的な問題に気づき、声を上げる人である。

現場の最前線に立つからこそ見える無理や歪みを、元請けや経営層に伝え、改善を促す。その役割こそが、安全衛生責任者の価値ではないだろうか。

声を上げても、すぐに状況が変わるとは限らない。それでも、声を上げなければ、何も変わらない。

まとめ

安全衛生責任者は、現場に欠かせない重要な存在である。しかし、事故防止を個人の力量に委ねるだけでは限界がある。

安全衛生責任者を中心に、現場全員、そして組織全体で「仕組みとしての安全」を築いていくこと。それこそが、事故を減らす最も確実な道である。

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この記事を書いた人

ニーバーオフィス

挨拶原稿会社の代表者です。安全大会での挨拶について、多くの協力会の会長さん、元請けの社長さんのご助力をしてきた経験から、挨拶の内容やアイデア、マナー、それから安全大会がどのようなものかなど、さまざまお伝えしています。